中古車輸出前検査業務の受託先が日本企業1社に

(ケニア)

ナイロビ事務所

2015年05月14日

 ケニアへの中古車輸出に必要な路上使用適格性検査の実施機関に、クオリティーインスペクションサービスジャパン(QISJ)が指名され、3月1日から業務を開始している。ケニア基準局(KEBS)が実施した入札に参加した業者が、手続きに瑕疵(かし)があったと異議を申し立てたが、公共調達行政評価委員会(PPARB)は手続きに問題はなかったと発表した。

<日本をはじめ4ヵ国で検査を実施可能>
 これまでは日本輸出自動車検査センター(JEVIC)、オートターミナルジャパン(ATJ)、QISJの3社が指名機関として中古車検査業務を担っていた(2012年2月10日記事参照)。その契約が2015年1月15日に終了するため、KEBSが次期契約の入札を実施し、2014年12月15日にQISJを単独の指名機関と発表した。

 これに対し、入札に参加した他の検査業者は手続きに瑕疵があったとしてPPARBに異議申し立てを行うとともに、入札のやり直しを求めたため、KEBSはとりあえずATJとQISJの2社と契約を3ヵ月間延長しPPARBの判断を待った。PPARBは入札手続きに問題はなかったと発表したため、KEBSはQISJと単独で3月1日から3年間の業務委託契約を締結した。KEBSによると、検査機関をQISJ単独にすることで管理が行き届き、より良い検査業務ができるとしている。

 QISJによる中古車の輸出検査は、日本、アラブ首長国連邦(UAE)、英国、南アフリカ共和国の4ヵ国で実施可能となっている。KEBSは、路上使用適格性検査により、(1)製造されてから8年以上経っていないこと、(2)右ハンドルであること、(3)安全検査と機械機器検査に合格していること、(4)放射能汚染がないこと、(5)KEBSの基準を満たし公道上での走行に適正があること、などの基準を満たしているか確認するという。

<日本の中古車が圧倒的なシェア>
 日本からケニアの2014年の中古車輸出は、乗用車が前年比9.7%増の5万6,761台、商用車が7.2%増の1万125台だった。ケニア国家統計局によると、国内における2014年の自動車新規登録台数(二輪車・三輪車除く)は10万2,606台で、2014年の新車販売台数(1万7,299台)を差し引いた8万5,307台が中古車だとすると、ケニアの中古車の8割近くが日本から直接輸入されたことになる。このほかに日本からドバイなどを経由して輸入された中古車を含めると、ケニア中古車市場で圧倒的なシェアを有している。

<排ガス規制や適格性検査基準の強化も検討>
 現地報道によると、エネルギー規制庁(ERC)は排ガス規制として、自動車に対する「フィーベート」(注)を導入する方針で、新年度が始まる7月からの規制開始を目指して財務省やKEBSと協議中だという。なお、国連環境計画(UNEP)はケニアの排気ガス削減計画において走行距離1キロ当たり158グラムの二酸化炭素(CO2)の排出基準を推奨している。現在、ケニアの自動車の1キロ当たりのCO2排出量は平均188グラムとされている。

 また、エネルギー石油省のンジョロゲ次官は、燃費の良い自動車購入への優遇策や、路上使用適格性検査の基準を製造8年未満から5年へ厳しくする案を、歳入庁(KRA)や財務省と協議しているという。

(注)フィーベートとは車の燃料消費量と排出ガスを削減するため、CO2の排出量が基準を上回る車には課徴金を課し、下回る車には税金の還付や減税をするなど、課金(フィー)と還付(リベート)を組み合わせた施策のこと。

(島川博行)

(ケニア)

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