福島県産除き日本食品に対する輸入規制を解除

(ブラジル)

サンパウロ事務所

2012年12月11日

国家衛生監督庁(ANVISA)は12月6日、福島県産を除く日本産食品・同原料の、輸入規制の解除を決定した。これにより、日本産食品の通関遅延、品不足の改善が期待される。

<日本産輸入食品の取り扱い再開に期待>
日本から輸入される食品・同原料については、2011年4月8日付ANVISA決議15号(RDC15)により、日本で発行された食品輸出証明書の添付や現地での放射性物質検査などが必要となっていた。しかし2012年12月6日付RDC59号により、福島県産の食品・同原料についての輸入規則を定めると同時に、RDC15が廃止された。これに伴い、福島県産については従来どおり、日本で発行された食品輸出証明書が必要となるが、福島県産以外の食品・同原料は放射性物質検査が必要なくなった。また、ANVISAによると、これまで必要だった原産地証明書の添付も福島県産以外は必要ないとしている。なお、日本酒、焼酎などの酒類はもともとRDC15の対象品目にはなっておらず、放射性物質検査の対象外となっている。

ブラジルでは日本食ブームが続いており、日本食レストランも拡大中だ。日本食の需要が旺盛だが、その一方で当該輸入規制のために種類、量ともに圧倒的に品不足となっていた。当地の輸入業者の中にも、輸入規制がある間は日本からの食品輸入を控える、という業者も少なくない状況だった。また、日本産が入手困難になったため、一部のスーパーやレストランは中国産、韓国産などで代用する、あるいは日本食品の取り扱いそのものを中止するなどの事態も相次いでいた。しかし今回の規制解除により、輸入規制により生じていた通関遅延、品不足の改善や当地輸入業者の日本食品輸入再開が期待される。なお、当地の日本食品輸入業者の話では、12月7日時点で、サントス港の通関現場で通関担当者から検査は全面解除された旨の連絡があったとしているが、今後も制度変更後の現場での運用体制を見守る必要がある。

(森下龍樹)

(ブラジル)

ビジネス短信 50c69a540b798