繊維輸出には輸出者登録フォームの添付が必要に

(トルコ)

イスタンブール発

2009年02月26日

2月1日から50キロ以上の繊維製品(主に革製品、紡織用繊維とその製品、帽子)の輸入通関時に新たに輸出者登録フォーム「EXPORTER REGISTRY FORM」を添付することが必要になった。繊維製品は同国の主力輸出製品だが、ここ数年のリラ高に加え、経済危機以降は、外需が冷え込む中で輸出は伸び悩んでいる。今回の措置は、今後も輸入が増加し続けた場合に、何らかの対策を講じるための事前調査と政府は位置付けている。

添付ファイル: 資料PDFファイル( B)

<手続きの具体的な変更内容>
従来は、インボイス・輸入許可申請書・委任状・繊維の詳細情報をもって輸入通関を行っていたが、新たに50キロ以上のテキスタイルと既製服(注1)を輸入する際には、輸出国で「EXPORTER REGISTRY FORM」(添付資料の1参照)という書類を作成し、添付することが必要になった。全輸出国が対象になる。

官報(2008年12月31日付No.27097、後に2009年1月29日付No.27125で輸出重量対象が5キロから50キロへ変更)によると、「EXPORTER REGISTRY FORM」には輸出国で、輸出企業が登記されている機関から「同輸出企業は登記されている(存在する)」という証明(同フォームに証明印を受けることで特別な書類は必要ない)を受け、その後トルコ大使館(もしくは領事館。輸出国にこれらがない場合は、輸出企業が所属する商工会議所。)での承認が必要となる。

輸入者側では、輸入者用のフォーム(添付資料の3−1と3−2、注2)に輸入する製品・企業内容などを記入し、輸入企業のサイン証明と「EXPORTER REGISTRY FORM」と併せトルコ側繊維機関(注3、添付資料の4)に提出。その後10日以内に同機関から確認了解(確認印が押される)のあと返却された全書類を通関時に提示し、通関する。生産のための原料や中間製品として輸入する場合は、上記と異なる生産者用フォーム(添付資料の5)も作成する必要がある。輸入者用フォームには公認会計士のサインも必要だ。

企業情報の記載された「EXPORTER REGISTRY FORM」と輸入者用フォーム(添付資料の3−1)は、暦年ごとに最初の輸入通関時に届け出る必要がある。また輸入者用フォームで数量などの記載が必要な部分(添付資料の3−2)は、輸入通関ごとに上記繊維機関に届け出、確認してもらう手続きが必要となる(この手続きは事前登録すればインターネットで可能)。

<今後の輸入量の調査が目的に>
テキスタイルとアパレルの輸入は中国、イタリア、米国、ドイツ、インド、インドネシア、パキスタンなどが上位を占めている〔06年イスタンブール繊維輸出組合(ITKIB)データ〕。

また、今回対象となったHSカテゴリーは、08年10月以降の経済危機の影響で08年の輸入量が07年に比べ減少しているものもあるが、07年まではほぼ一貫して増加していた。

当該書類をITKIBなどのトルコ側繊維機関に提出させることにより、繊維関連製品の輸入量を把握し、調査することが大きな狙いのようだ。特定品目の大量流入を避け、場合によっては自国産業保護の観点からアンチダンピングへの対応、最悪の場合には当該品目の輸入停止措置を速やかに講じるためのものと予想される。ITKIBに確認したところ、調査(INVESTIGATION)のために行う措置であるとコメントした。

同規制はリンク先の官報要約説明(MS Wordファイル)中の1.からオリジナル官報へアクセス可能。

(注1)HSコード;4203.10、4203.21、4203.30、4303.10、4304、50〜63すべて(ただし、5407.20、5701、5702、5805、6305.32、6305.33は除く)、6505。
(注2)添付資料の「EXPORTER REGISTRY FORM」以外はジェトロで英訳したもので、輸入者側で必要な正式なフォームは官報に提示されているトルコ語フォーム。
(注3)ITKIB(イスタンブール繊維輸出組合)、EIB、AKIIB、UIB、AIB、GAIB、DETKIBなどの地域繊維輸出組合。

(石原圭昭)

(トルコ)

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